「傾聴」というとただ黙って話を聞くことと思っている人も多くいるようですが、実際には生活の数多くの場面で少し意識することで必ず身につき、向上させることができるスキルです。
この「傾聴」というスキルと、それを向上させるうえで役立つ5つのコツをこの記事ではご紹介します。
傾聴の4つのスキル
【傾聴スキル①】ペーシング
ペーシングとは、相手の姿勢や話し方、視線、、表情、テンションに自分自身を合わせる方法です。
相手が楽しい話をしているときは同じテンションに合わせたり、相手が笑顔の時は自分も笑顔になることや相手が辛い気持ちを打ち明けているときには自分も悲しい表情で聞く、といったようなことを意識することで、話し手の気持ちに共感していることを示すことができます。
【傾聴スキル②】パラフレーズ
パラフレーズとは、相手の言ったことを要約したり、言い換えたりすることです。
例えば「娯楽」という言葉を聞いたとき、あなたはどんなイメージが浮かぶでしょうか?ある人は夏はキャンプ、冬はスキーなどアウトドアが浮かぶかもしれません。またある人は読書やお菓子作りが浮かぶかもしれません。
「娯楽」という言葉の意味は「心を慰め、楽しむこと」ですが、何をもって楽しいと感じるかによって「娯楽」に紐づけられているイメージが人によって異なります。
相手の言ったことを要約したり、言い換えて確認することで、このような相手と自分の認識のズレを調整することができ、相手は自分の言ったことが理解されたと感じることができます。
また要約して返されることで、相手は自分の考えや気持ちがスッキリ整理され、自分が言いたかったことを改めて確認したり、納得することができます。
【傾聴スキル③】オウム返し(反復)
オウム返しとは、相手の言葉をそのまま繰り返すことです。
例えば「とても忙しいです」と相手が言った場合、「とてもお忙しいのですね」というように相手が言ったことを言葉を変えずに復唱します。
繰り返すことで正確に聴いていたこと、「きちんと認識しました」というメッセージを発信し相手に安心感を与えることができます。
【傾聴スキル④】オープンquestion
会話の途中で適切な質問をすることで相手の言いたいことを引き出したり、明確にすることができます。
質問にはいくつかの方法がありますが
- オープンクエスチョン(開かれた質問)
- クローズドクエスチョン(閉じられた質問)
は、代表的な技法です。
オープンクエスチョンとは回答の範囲を限定せずに相手に自由に答えてもらう質問の仕方です。
例えば「○○さんはどう思いますか?」「これからどうされますか?」などがそれらの質問にあたります。
英語の5W1Hの問いかけと言えます。
- What : 何を
- Why : なぜ
- Where : どこで
- Who : 誰が
- When : いつ
- How : どのように
といった、相手に詳しく具体的に話をしてもらうための質問です。
その反対にクローズドクエスチョンとは「はい」「いいえ」または「AかB」のどちらかを選んで答えられる質問です。
オープンクエスチョンをすることで相手は自分のペースで語ることができ、のびのびと話せるため会話を盛り上げることができます。
スキルを高める5つのコツ
【傾聴スキルを高めるコツ①】聴くときの表情や態度を意識してみる
人の話を聴く時に「笑顔」を向けることは「あなたを受け入れていますよ」という気持ちを表していることになり、話しやすい雰囲気を作ります。
また「悲しい話」や「深刻な話」「楽しい話」など、相手の話や感情に合った表情を作ることは話し手が「共感してくれている」と感じ、心を開いて話せる雰囲気を作ります。
表情だけではなく、声のトーンや姿勢・態度なども意識することで一層良い雰囲気作りができます。
【傾聴スキルを高めるコツ②】話すことより聴くことを意識してみる
会話の途中で知っていることなどが出てくると、つい相手の話を遮って自分の話をしてしまうということは誰にでもあることかもしれません。また自分の話をしている途中で話に割り込まれ、別の話題に変わったりすると、その後話をする気力を失ってしまったという経験は誰しもあるのではないでしょうか。
「傾聴力」を鍛えるのであれば、聞き役に徹することを意識し、話す割合を「相手7:自分3」になるようにしてみます。
【傾聴スキルを高めるコツ③】的確なタイミングで相槌を打つ
会話が弾む要因として、聴き手が自分の話を聴いてくれていると実感することが大切です。
自分の話に対して、軽く頷いてくれたり、声を出して返事をしてくれたりすると、会話しやすい状況になるものです。ただしこの相槌はタイミングがとても大切になります。
「はい、はい、はい」など同じ言葉を連呼すると耳障りに捉えられたり、「確かに」や「なるほど」などは上から目線の印象も与えるので連発には注意が必要です。
内容に応じて声の高さや速さを変えたり、相手の言ったことに対して「1秒」空けて相槌を打つと効果的になります。また「来月就職します」「良いですね!」ではなく「就職ですか?良いですね!」というように相手の言葉を引用するとなお効果的です。
【傾聴スキルを高めるコツ④】相手の話や考えを否定しない
「同館」というの相手と同じように感じることであり、「共感」とは相手の体験する感情を自分のものとして感じとることです。同じ意見を持たなくても「相手はそう思うのだな」と感じることが「共感」でありこれは「自分の考えを押し付けない」「相手の話の内容や考えを否定しない」ということです。
この「相手を受け入れる=共感」が傾聴の大前提であり、相手との信頼関係を築くうえでとても大切なことです。
【傾聴スキルを高めるコツ⑤】沈黙を恐れない
人は、話しながらふと考え込んでしまったり、過去のことを思い出したり、どう話して良いか迷ったりすることがあります。また悲しみの感情などが湧いて言葉が出てこないということもあります。
そういう時聴き手は、沈黙に耐えられず矢継ぎ早に質問してしまったり、焦って話題を探したり、無関係な話を持ち出したりしたくなるものですが、その「沈黙」には意味があるのです。
その「沈黙」は話し手が考えをまとめたり、思い出したりする時間であり、その時間は話し手が自分の中で「答え」を見つけている時間でもあるのです。
聴き手は沈黙の間、相手の表情や動作をよく観察し、相手がいつでも話を切り出せるような温かい落ち着いた雰囲気作りをして「待つ」ことが必要です。
傾聴力を高めるスキルとコツのまとめ
「傾聴力」は普段の会話の中でも意識することで身に着けることができ、ちょっとしたコツを知ることで一層向上させることもできるものです。
技法だけではなく「相手と良い関係を築きたい」「相手の心を理解したい」という気持ちや姿勢があって初めて相手との信頼関係へと発展させることができるものなのです。
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